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「かりに、おれが真正面から反抗的に出て、それがために住みにくくなつたとしても、同じことだ」
「いや、どうも。恐縮です」
鬼倉は一瞬、相手を地着きのごろか何かと思つたらしい、一種の殺気をひらめかした。
それは房一がこれまでに漠然と想像していた練吉とはかなりにちがふものだつた。以前見かけた練吉の学生服姿、その良家の子弟らしいつんとした近づき難さは、どこかにのこつていたが、或る柔い、善良さが今の練吉からは感じられた。
房一はそれに目をとめていたが、急に強い口調で、
「大きいやつだねえ」
と、相沢は口ごもつた。
「ふむ、さうか」
あのことだな、と房一は思つた。訊いてどうかな、とは感じたが、相手があまりさつぱりしているので、
「え、御老人、どうしました?苦しいですか」
だが、房一よりも堂本の方がもつと慌てていた。彼はいきなりそこに痩せた身体をしやちこ張らせてかしこまると、
と、舌ざはりの悪いものでも口にしたやうな調子で、練吉はぽつんと云つた。
傍にいた赭あから顔の老人が低い声で云つた。